2011年5月26日木曜日

20011/05/18 衆議院文部科学委員会【武田邦彦参考人意見】まとめ

記憶力乏しいんで、文面で残しとく~☆

武田先生の論点は3つ


論点1は、日本の原子力発電所の自然災害に対する安全性について
2006年に日本の原子力発電所の新しい地震指針が決定された。
決まった内容は・・・
あまり安全でなくてもよい、残余のリスクを認めようじゃないか。
これは現在では想定外という言葉で言われている。
残余のリスクを認めるとは、電力会社の想定外のことが起きれば
第一に、施設が壊れる
第二に、大量の放射線が漏れる
第三に、著しく住民が被曝する
この3つが起こることを認めなければならないという指針が正式に通った。
どういう意味かというと
日本国は、原発は想定外であれば、倒壊して、大量の放射線が漏れて、
住民が被曝する装置であるということで構わないと認めた。
私は、原子力の仕事をやってきたので、原子力をやや推進していたが、
これは駄目だと。
なぜかというと、元々壊れるような物を作って、大きな災害になって
それで原子力を続けるなんてことは、技術的には全然できないことで
私はやや批判的になりました。
つまり国策で進めている技術が、大災害をもたらすということが、
技術的、論理的にはっきりしたということです。
震度6の柏崎刈羽原子力発電所が壊れたのは2007年。
今回、2011年に同じく震度6で福島第一原発が壊れて、
さらに余震で女川と東通原発が電源を失ったいろんなトラブルに巻き込まれる。
その中でも青森県にある東通原発は震度4で全電源を失う。
私は技術者なので、そういうような技術的なものを作るという、
また運転するということ自体が、極めて大きな問題だと思っています。

浜岡原発が停止になりましたが、原子力発電所の自然災害による弱さの原因で
一番大きいのは、原子炉は守られているけれども、そのほかは守られていない。
例えば、福島で電源計が落ちました。
それで、多くの人は津波に備えなければいけないと言っていますが
原子力発電所は、極めて複雑なものなので、地震と津波に備えれば、
それで終わりというものではない。熱交換機のパイプが外れても、
計測計に間違いがあっても、同じことが起こります。
したがってどこに問題があるかというと、原子炉は比較的強く守られていますが
原子力発電所の全体の安全は、非常に弱いということですね

私は専門員で地震指針の審査にあたったときに、
「この指針は、原子炉を守るための指針なのか?
住民を守るための指針なのか?」という質問をしている。
この意味は、原子炉だけを守るのと、原子力発電所全体を守り、
かつ付近住民が被曝しないということを守るのとでは、設計上大きく違ってくる。
どちらを取るのかは、極めて重大な問題だろうと思っています。
飛行機に欠陥があって墜落しますと、その時点で飛行機の使用をやめて
検査をして、原因を明らかにしてから、飛行機を運航するというのが
技術的な常識でありますので、
福島原発では、論理的に原子力発電所が壊れるという、
設計通りのことが行われて、壊れたわけですから
日本のほかの原発を全部止めて、設計の安全の見直しを行って
再開することが、
政治的には、どういう影響があるのか分かりませんが、
技術的には正しい方法だと私は思っています。
それによって、原子力発電所が安全に動くことができる。
飛行機もかつては墜落しましたが、現在では非常に安全に運行している。
それは、そういった技術的な観点がはっきりしているということが
技術の進歩をもたらしているだろうと思っています。

論点2は、
原子力発電所は壊れることが分かっていて運転しているという問題
もう一つは、技術の問題は必ずしも100%安全だとは限らない。
したがって、事故が起きたら何をするかということを決めておかなければならない。
ある電力会社とプライベートで会合したときに、
「原子力発電所が壊れたら、我々は水源を失うんだけれども、
電力会社は、ペットボトルを用意されていますか?」と質問しましたが
「していない」と。
「そのうちには空間線量率が上がって、子供たちを疎開させないといけないが
電力会社は、疎開先の小学校をどこに用意していますか?」
「用意していない」と。
「そのうちには土地が汚れて、その土を持って行かなければならないけど、
持って行くところは、どこにありますか?」
「ない」と。
私は現在の社会で技術的に適用されている巨大技術というのは
すべからくその実施者が、何かあったときに、ちゃんと始末をする責任をもつ、
もしくは、実施能力を持っているが故に認められているというふうに
思っています。
ある技術をやって製品を作って、それが壊れたら何も知らないというような
技術が存在すると、それがしかも国策でやられているということに、
非常に私は違和感を感じます。
それとともに、今日は放射線のご専門のお医者さんが居られて
言いにくいのですが
事故が起こる前は、我々は原子力発電所の安全を保つために
常に一年1ミリシーベルトを基準に設計してきたんですね。
事故が起こって、
突然一年に100ミリシーベルトまで大丈夫なんて言われたら、
設計の根幹が崩れます。一年に100ミリシーベルトまで安全なら
原子力発電所は突然安全に変わります
したがって、 私たちが原子力発電所の安全技術を作るときは、
まず第一に、医療関係者が
一年何ミリシーベルトまで大丈夫だということを基準に
設計を始めるわけですね。
したがって、そこが揺らいだら、原子力発電所を作ることが自体が
元々できないと私は思いますので、今回の事故が起こって
何ミリシーベルトまで安全だなんていう話しが出てくる自体が
私は非常に違和感を感じております。
これでは技術を作ることはできませんですね。
技術は必ずそれをもたらす社会的結果において、それを防ぐための
対策を主体として設計するものでありますから
例えば、自動車でも時速が1000キロまでというなら
設計が変わってきますよね。
時速10キロに制限されたらまた変わってくるわけですね。
そこのところ、非常に根幹であって、
現在そういうことが3.8マイクロシーベルトであるかどうとか、
それを議論しているというようなことでは、巨大技術をやることは
私はできないと思っています。

論点3は、
私が言うことではないかもしれませんが、
原子力基本法が成立致しまして、原子力は常に民主、自主公開でなければ
いけないという原則がありまして、
私は技術者として今までやってきまして、この原則があるという前提で
原子力は安全に、技術として展開できる。
つまり、現在で一番大きい問題は公開でありますが、
これは原子力基本法ができたときに
日本学術会議で、原子力については、あらゆるプロセスで
すべて公開というような要請をしておりますけど、
私も技術者の一人として、公開がなければ
このような大きな技術を安全に運行するということは、
ほぼ不可能であるというふうに思いますので、
その点をご考慮いただければと思います。

【馳浩議員の質疑】
馳「事故か、事件か?」

武田「日本の原子力発電所は、ほぼ震度6以上位の地震で倒壊するように、
この場合の倒壊というのは、倒産みたいな意味でありますが、
つまりいろんな形で壊れるということを前提に作られているわけですから
その意味では、技術の問題よりは、そういう設計基準を持って
原発を作ったということが、まず第一であろうと思います。
それから、あのくらい大きな装置というのは、必ず半日もしくは
一日くらい前に兆候が現れます。
今度は電源が切れて、循環水が通らないということになりますと、
小さな装置ですと、あっという間にある意味では爆発したり、
いろんなことが起こるわけですが、
物理的に言いますと、サイズのルートで時間が経過します。
したがって大きい装置ほど、
簡単に言うと、象の動きが遅いというのと同じなんです。

したがって原子力発電所の場合は、装置が大きいだけに
実際に事故になる原因が起きてから、例えば事故が具体的な形を表す。
今度の場合は循環水が切れたという状態から
熱の量は計算できます。それにしたがって、水の蒸発量も計算できます
腐食によって水素が発生する量も直ちに計算できます。
したがって循環水が切れた時点で、一日後とか、半日後に
水素爆発するとか、燃料が溶融するということが予想できるわけであります
これは装置が大きいことによってできるんですね。
それから、そこの時点での風向きというのが分かっていれば
一日ぐらいの余裕がありますから、何号炉はいつ爆発すると
それによって放出する量は、何ベクレルであると、
これは計算の方法が確率しておりまして、
予算を使って計算のソフトが完成しております。
それに気象庁が力を尽くして、風向きを推定したら
確実にどこの地点が、どのくらいの汚染を受けるということが分かります。
そこから、もしも計画的にバスとかそういう手段で避難させるとすると
原発という機械は壊れますが、
住民は被曝することなく待避をすることができる
そういうことができたという点では
初動における情報の公開、特に技術的な情報の公開は著しく遅れたと
いうふうに思います。
それから、最近になって燃料が溶融しているんではないかという
報道が流れましたが、これは専門科の間、原子力安全委員長も言っておられますし
原子力学界も発表しておりますが、私もそうでしたけど、
3月末には既に燃料が破壊されているということは、およそ見当がついておりました。
それが2ヶ月後に発表されるということがあって、いろいろな対応が遅れた。
例えば東電が4月中旬に発表した工程表というのは
既に東電が炉内での燃料の破壊が分かっていながら、
違う工程表を発表するということになりましたので
全体的な技術の初動体制というのは、大変に人間的な要素が多かったと思っています。」

馳「事件、事故に対しての備えという意味でも、
国会にそういった委員会が必要ではないかと思っております。
今後の課題も含んでおりますので、武田先生はどういうふうにお考えですか?」

武田「陳述にも申し上げましたとおり、原子力発電というのは、
人間の想像を超えるような、熱の出力を持っております。
そういった巨大技術を日本社会がマネジメントするためには
ぜひ今言われましたように、原因追求を極めて厳密にやるということが
今後、50基ほど日本には原子力発電所がありますが、
それの実質的な安全性を保つために非常に重要である。
そのときには、極めて重要なことは、やはり事実を非常に重視すると
いうことに基づいて、実施するということが
今後の技術の安全性を保つのだということです。」

馳「SPEEDIは、法に従えば公表できるはずなのに、されなかった見解について?」

武田「最初に事件があって、爆発して大体どのくらいのベクレルが出た
ということを思ったときに、風向きが一番心配でした。
風向きによって、風下は大量に被曝をします。
そのときに政府は、放射線は距離の二乗に反比例すると言いましたけれど」
これは科学的に間違いでありまして、放射線の被曝は原子炉から
モヤモヤと上がった、いわば噴煙とか花粉というようなものと同じなんですが
それが風に吹かれて、行くところの下が被曝するわけでありますので
距離の二乗には全然関係がないものであります。
したがって最も重要なことは、風向きを伝えるということ
それにSPEEDIが役立つわけでありまして、SPEEDIは勿論即刻
迷うことなく公表すべきであり、
やっぱり原子力発電所という、非常に危険だけれども
国益に即しているという技術を開発する上で
一番下の要件といいましょうか、そういうものであるということだと思います。
だから、3月23日に最初に発表されたSPEEDIのデータを見まして
これは大変だと、私はビックリ致しました。
既に100ミリを超えているところが、相当の地域があると。
これをもしも、これが手続き上、何かの加減で隠したとすると
それは被曝した人の病気に直接関わることですから
私のような科学をやっている人間にはとても考えられないような
処置であったというふうに思います。」

馳「市町村によっては、校外での活動を自粛しているところもあります。
クーラーの設備などの必要性を感じます。それについてのご意見は?」

武田「放射性物質は、ソ連の次に日本が汚染されたわけです。
ソ連は何もしなかったので、現在でもチェルノブイリはコンクリートをかぶって
そこの中にある遺体も回収できない状態でありますし、
汚れたところには人は住んでおりません。
しかし、日本は工業力もあるし、科学的な力もあるし、
もしも日本国を上げてですね、
現在福島県が汚れているというのは
10年、20年、全然使えない汚れじゃなくて、単に放射線を出す粉が
表面にあるだけですから
粉を取れば、福島は一年ぐらいで住めるようになると思います
今は汚れているところに、そのままにして野菜を作ったり
汚れているところをそのままにして、20ミリシーベルトで頑張れというのは
いかにも方策がなさすぎると思うんですよね。取れるもんなんですから
土の上にただパラパラと乗っているもんですね。
チェルノブイリでは、大体放射性物質というのは、事実20年間で20センチしか
沈んでないわけですよ。
したがって雨が降るといけないんですが、例えば梅雨の前であれば。
放射性物質という物は、表面にしかないんですよ。
それをローラーのように取ってしまえば
言ってみれば掃除機でいいわけですね。
事実、郡山の小学校で、土が3.3マイクロシーベルトから5分の1ぐらいに
下がったわけですよ。ブラシでかき混ぜて、その表土を取っただけなんですね。
したがって、日本の国土は非常に重要だし、技術的には取り得るので
放射性物質で汚れたから、10年、20年は郷土に帰れないとか
20ミリで我慢しなさいというのは、一切やめてできるだけ早い機会に
放射性物質そのものを取ってしまう
取って福島原発に帰してしまえばいいわけですね。
要するに、事態としては福島原発にあった放射性物質ですから、
粉ですから、その散った粉は30年間放射線を出し続けるわけですから
これは技術的に単に集めて、福島原発に帰してあげればいいだけのことで
これは日本の国土が非常に重要だということもあって、
是非できるだけ早くやるべきだ。
梅雨が来て雨が降りますと、下の方に浸みていきます。
そうすると、5センチ、10センチ取らなきゃいけないとなって
不可能であるということになりますが、現在では全く不可能じゃないわけです。
残念ながら、放射線を出す粉が自分の目に見えないので
拭こうという気が起こらないだけです。
是非早めに取って、福島がきれいになることを非常に期待しております。」

1 件のコメント:

ookawahara さんのコメント...

まとめ、本当にありがとう&お疲れさまです!!